HIV感染者の血液を牛乳に混ぜて飲ませる、という小説が、つい数年前に一大センセーショナルを巻き起こした。
愛娘を二人の教え子に殺されてしまった女性教師が、復讐のため、また命の尊さを訴えるため、二人の教え子にHIV感染者の血液を混ぜた牛乳を飲ませる、というワンシーンは、かなりの反響を読んだ。
テレビのニュースで紹介されたほどだったし、最近では映像化作品になり、DVDも出ているので、知っている方は大勢いらっしゃると思う。
問題のシーンは第一章にあるのだが、第一章を読んだとき、女性教師のあまりに淡々とした振る舞いに背筋が寒くなったのを覚えている。
女性教師は愛娘を殺した教え子の牛乳にひっそりとそれを混ぜ、HIV感染までの潜伏期間、いつ発症するともわからない中で、命の大切さを知って欲しいと静かに呼びかけた。
愛娘を殺した犯人である教え子は堪らず牛乳を吐き出したり、教室を飛び出してしまう……という流れである。
この作品には、HIV感染に関して様々な知識が書かれている。
優れた小説作品であるのと同時に、HIVのことを学ぶきっかけとなる指南書のような役割を私は受けた。
フィクションから現実のことを学ぶのは、少し注意が必要だが、この作品がなければHIV感染に関しての理解が深まることはなかっただろう。
何故ここまでするか